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カラスのヤツから、妻のミエコがある人間の男に熱をあげている、と聞いた。
ふん、と俺は鼻で笑ってその場を立ち去ったが、
内心気が気じゃなかった。
俺は長年、ここいらの野良を束ねているボス猫だ。
ミエコは俺がまだ一介のチンピラをやってたころ、
縄張りを見回っていて見つけた、ダンボールに捨てられていた元飼い猫。
白黒の模様が俺と良く似ていて、細長い優雅なシッポを持っている。
お嬢様育ちのミエコには随分とツライ思いをさせてきたが、
ボス猫になってからは餌に困ることもなく、何不自由ない生活をさせてやっていると、
そう自負していたんだ。
それなのに・・・
ミエコの変化は俺だって気づいていた。
いつも上機嫌に微笑み、ウキウキした足取り。
あの優雅なシッポをなびかせて落ち着きなさそうにあちこち走り回ったかと思いきや、
昼寝しながらぽっと頬を赤らめたり。
出会った頃とまったく同じ彼女の反応。
ただ一つ違ったことは、気のない返事。
俺がいくら話しかけてもミエコはどこか上の空だった。
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