第1回 プロローグ
雨が降っている。
少年は、体温を奪っていく雨が嫌いだ。
だが、少年は雨の日 絶対に傘を差さない。レインコートも着ない。
なもんだから雨の日、彼は髪の毛やら、制服やらから雨水を滴らせていた。
その様子が不憫だからという理由で彼に傘を貸そうとする者も数人いた
その中には頬を赤らめて、一緒に入らないかと誘う者もいた。
が、それを少年は柔和な微笑みでかわすだけ。傘を受け取ろうとはしなかった。
そんな少年に周囲がむけたのは好機と嫌悪の視線。
雨が嫌いだと言いながら、雨に打たれる彼を使い古された罵り文句や、質問が責め立てたが、少年はいっさい理由を語らなかった。十六年間誰にも。
ときおり、空を見上げながら泣くことがあった
雨に混じって少年の頬を撫でていく涙を見たら…誰も少年をそれ以上責めることはできなかったのだ。
気の毒に思ったからではない。
本人は気付いていないだろうが、曇天を仰ぎ涙する姿は、いっさいの言葉や感情をせき止めるほどに
美しかった
プロット2 フィーネ
“彼女”は今日も空を見下ろす。それが“彼女”にできる唯一のこと。
どんなに空が曇ろうと、雨を降らそうとも、いかずちを降らようとも。
抱きしめてやりたいなんて、何度思っただろう。
だけど、できない。 手を伸ばすことすらもかなわない。
悔しい……と 呟くことすらできない。ひとは、これを非力と呼ぶのだろうか。
・・・だとしたら、誰もが非力なのではないかと “彼女”はおもっていた。
白すぎるほどに美しい“彼女”の頬を、冷たいしずくが撫でた。
形が憎い。捨てれたらどれだけ楽だろうか。
重荷とは違う。かせでも、檻でもない。なのに縛り付ける
自身の心を。 苦しい、苦しい、苦しい。どうか、どうか解き放ってほしい。
少しうつむきながら立ち尽くした、昼下がり。
ふと視界が色あせていく、何が起こったのか全く理解できないまま
世界が反転していくような感覚に襲われる。
それは自分のカタチが変わるような不思議な感覚だった。
プロット2の続き?
この雨いつまで降り続くんだろうなんて思いながら
片手でペンを回す。
「うおい、高杉?
偏差値72の天才は俺なんかの授業より、雨の方にが興味があるか?
おとなしそうな顔しながら、 腹ン中では言いたい放題ばかにしてんだろう?」
そんなことは、 ない。
否定したいはずなのに上手く口が言葉をつむがない。
人を馬鹿にするなんてこと内心でさえすることができない。
そんな自分を醜く、情けなく思ってるのはだれよりも自分自身なんだ。
誰にも届くはずのない感情を曖昧な“カタチ”にしてまたひとつ心の隅に放り投げた
かっこつけて外聞をよくしたいんじゃない。体裁を繕いたいんじゃない。だけど!!
どうやって伝えればいい?
うまく形にならない
よって伝えられない 苦しい、苦しい、苦しい
どうか 僕に 形を…。
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