アイム、ア 自営業者。
起業して三年目で黒字にしたんだけど、ずっこけ政府と凸助官僚と、与太銀行のお陰で不景気の波をもろにひっかぶっちゃった。
不景気を解消するだけの能力なんて持っていない連中があたふた、あたふた、したところでどうにもなんなかったね。
「景気回復は桜が咲く頃には・・・・」
なんて言ってたな時の経済企画庁長官のOさん。
辞めた後になって
「ボクには何の権限もなかったんだよ。」
なんて戯言を言ったりしてるから中国のハニートラップなんかに引っかかっちゃうんだぜ、時の首相RHよ。
まぁ、あんたはあの世に行っちゃったから良いけどさ。
不景気、いやいや、酷いもんだ。
お陰さまでこちとら家を一軒売っちまったぜ。
この不景気は一自営業者が努力してどうこうなる、なんてレベルじゃなかったぜ。
と、まぁ愚痴はこの辺でおしまいにしよう。
で、仕事が上手く行かなくても、出る金は出る。
ギリギリ切り詰めたって限界ってもんがあらぁな。
稼がにゃなんない。
それも、即だ。
で、タクシーの運転手をやった。
本業もやりながら・・・・。
高校のPTA会長もやりながら・・・。
タクシー運転手って高齢者が多い。
ゆえに、健康診断はキッチリやる。
今日の話はそんな健康診断がらみの話だよ。
前日の朝の8時からタクシーを転がし、ウン万円を稼いで翌朝の6時〜7時に営業所に帰ってくる。
ちょうどその日の朝は健康診断であった。
血圧・レントゲンとこなして最後が尿険だ。
尿険、つまりおしっこの検査。
底に同心円が描かれてある例の紙コップをもらって、やおら慎重に尿を充填する。
紙コップを持つ手に微妙で独特な振動が伝わってくる。
暫くして作業完了。
さあ、紙コップを指定の場所に置きましょ、と思い一歩足を踏み出した。
その時だ。
私は尿検査の紙コップを置いてある木のお盆をうっかり蹴っ飛ばしちゃったんだねぇ。
古くて薄暗い営業所だったから気がつかなかった。
なんで、こんなとこに置いておくんだ、といってもアフター・ザ・ フェスティバル、そう 後の祭りだ。
何人もの運転手さんのおしっこがお盆の中をチャプチャプしている。
ウウウウウウム、困ったな、なんとかせにゃ。
幸いに辺りに人はいない。
仕方が無いからってんで、大急ぎでお盆の中の紙コップを別の場所に移しきれいに並べた。
そして、お盆の隅と隅を対角線になるように手で持って、それぞれの紙コップにお盆の中の尿を慎重に均等に注いだ。
注ぎ終えたところでお盆を水で洗ってその後、紙コップをお盆にもどした。
誰にも見られてはいなかった。
で、それを元あった場所に戻した。
こんなことをして良いわきゃない。
分かってる。
でも、どうしようもない。
オオ マイガー、許してください!
それから暫くして検査結果が出た。
結果は全員異常なしであった。
神は我が祈りに答えてくれたようだ。
こんなことってあるのかねぇ?
え?何がかって?
つまり、全員の運転手さんのおしっこをいっぺんにカクテルしちゃったんだけど、それでも検査結果は全員異常なしってことが。
ちゃんと検査しとるんかなぁ? 心配だな。
まッ、でも一番悪いのは俺だけどね。
その後、寝込んだりした運転手さんはいなかった、まずは目出度し、目出度しだ。
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